畳は日本古来の伝統文化です。
その発祥は非常に古く、古事記には「管畳八重」「皮畳八重」と言う記述があります。
ただし、まだ、この頃は現代の畳のように畳床があるものではなく、板の間にござを重ねて敷いたような物だったと考えられています。
いずれにしても、畳は日本人に非常に古くから親しまれた優れた敷物です。
ところが、今、その畳のほとんどに中国産のイ草が使われています。
その数はなんと、80%。
つまり、純粋な国産の畳はわずか20%程度と言われています。
それだけに国産の畳は非常に貴重な物になっています。
そこで、今回は国産畳と中国産畳の違いはその背景などをご紹介したいと思います。
国産畳が貴重な理由とその背景
先ほどお話ししたように現在、国産畳の流通量は僅か20%程度です。
では、なぜ、そのような事になったのか?
その背景について少しご紹介します。
畳の歴史は非常に古いですが、当初は今のように敷き詰められた物ではありません。
いわゆる置き畳のような物で、必要な場所にのみ置かれる物でした。
ところが、鎌倉時代になるとそれが段々と部屋全体、床全体に敷かれるようになります。
とはいう物の、実際に畳を利用していたのは武家や貴族の上流階級のみです。
それが室町、安土桃山と時代が流れ、江戸時代中頃になると庶民にも普及して行きます。
ただ、農村にまで普及したのは明治時代の事だそうです。
当初、イ草は天然の物が使われていましたが、この頃になると専門に栽培が始まり、江戸時代後期には畳職人や畳屋と言う職業が確立して行きます。
ところが、このような状況も昭和を境に一変します。
高度成長期に入り、それまでの和室の文化から段々と椅子やソファ、そして、フローリングやカーペットなど、の西洋風のライフスタイルに変わっていったからです。
それに伴い段々と和室の数が減りました。
そうなれば、当然、畳の需要も低くなります。
需要が減れば、供給も減ります。
それまで国内でイ草を栽培していた農家さんが減り、畳屋さんも減少します。
更に、そこに追い打ちをかけたのが中国産のイ草です。
流通が発展し、安い人件費で作られた中国のイ草が国内で流通するようになります。
この為に国内のイ草農家さんは減少の一途を辿っているのが現状です。
それ故に、国内で生産される、純国産の畳表の数は非常に少なく、貴重な物となっています。
中国で作られた畳表と国産畳表のからくり
国産畳と中国産畳。
その品質を比べると一目瞭然です。
当然、国産畳の方が品質が高いです。
その為に、国産畳を謳い文句にする畳屋さんがたくさんあります。
ところが実はここに大きなからくりがある事を知っている方は少ないです。
日本には最終加工地が生産地になると言う法律があります。
その為に、中国で作られた畳表を日本に輸入します。
そして、日本で裁断し、畳として製作します。
すると、この畳は「日本製」として「国産」と表示する事が出来ます。
私達のような一般の消費者は国産と聞くと、当然、国内で栽培され、国内で生産された畳だと考えると思います。
ですが、現実は違います。
国産と表示されていても、ただ、最終加工地が日本なだけで、実際は中国で作られている畳は存在するのです。
このカラクリは知っておいた方が良いでしょう。
国産畳の見極め方
国産畳は僅か20%程度。
非常に貴重です。
その品質は中国産とは比べ物になりません。
例えば。
・耐久性
・弾力性
・調湿機能
・香りや風合い、触り心地
など
その機能や性能だけではなく、見た目や風合いも違います。
それ故に、国産畳は貴重です。
そして、価格も高いです。
その為に悪意ある販売者は出来るだけ「国産畳」として売ろうとします。
その方が高く売れるからです。
このような詐欺まがいの販売店は少なくありません。
このカラクリに引っかからないようにするには、私達消費者が国産畳を見極める事が必要になります。
では、どうすれば、国産畳を見極める事が出来るか?
ポイントは大きく二つあります。
1.信頼できる販売店を選ぶ
まず、もっとも重要な事はやはり信頼できる販売店を選ぶ事です。
中国産の畳表が決して悪な訳ではありません。
中国産には中国産のメリットがあります。
それを求めて購入する事は何も問題がありません。
ただ、実質は中国産でありながら国産と偽る事が悪質な訳です。
これは販売店の方針と姿勢の問題です。
中国産なら中国産、国産なら国産と明確に紹介してくれる優良な販売店を選ぶ事。
これが最も大切です。
2.QRコードとタグ付きの物を選ぶ
現在、国産の畳の生産のほとんどが熊本産となっています。
*福岡、広島、岡山、高知、石川でも生産されていますが、作付面積は熊本が圧倒的に広く、その他の地域のイ草は更に貴重です。
熊本産の畳表には、他と差別化する為に、QRコード、生産者名、生産者番号が書かれたタグが付いています。
QRコードをスマホで読み取ると更に詳細な情報を確認する事が出来ます。
このタグのついた畳表を選ぶ事で生産者さんの顔や名前を知る事が出来るのでかなり信頼できます。
国産畳と中国産畳の価格違い
では、国産畳と中国産畳ではどれぐらい価格が違うのか?
その一例をご紹介します。
中国産畳 | 国産畳 | |
三条たたみ | 3000円 | 7800円~ |
カネコ畳工房 | 5000円 | 7980円~ |
とりまつ畳 | 3500円 | 4500円~ |
今中畳店 | 4500円 | 6500円~ |
田端屋 | 6000円~ | |
井上製畳所 | 10000円~ |
ご覧のように国産畳は全て1ランク高くなっています。
こちらで紹介した物はあくまでも、国産畳で最もリーズナブルな価格で高い物はいくらでも上があるそうです。
ちなみに実際に調べていただくと分かると思いますが、多くの畳屋さんの価格表示は非常に曖昧です。
*「普及品」「中級品」「おすすめ品」「高級品」など。
これでは実際のところ、その品質は非常に分かりにくいです。
もちろん、これら「全てが信用できない」と言っている訳ではありませんが、生産地の表示が明確な販売店の方が安心できるのは間違いないでしょう。
まとめ
畳は大切に使えば、何年も使えるとても優れた敷物です。
出来るだけコストパフォーマンスの優れた良い物を選びたい物です。
その為には、国産の畳を選ぶ事も良い選択だと思います。
ただし、純国産の畳は非常に貴重で、その選び方が重要になります。
販売店の謳い文句に惑わされる事なく、私達、消費者もその見極め方を知っておく事は大切な事かもしれません。
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